封印せし記憶


1限目は生物、2限目は英語。
3限目、4限目…と進み昼休みへと突入する。
その間、静菜は変わらず窓の外を眺めていた。

昼食は教室でサンドウィッチをとったが、その直後に鞄を手にして教室を出て行ってしまった。


今日はどの道から帰ろうか。
そんなことを考えるでもなく、歩き出す静菜。

歩き出してから10分も経過しただろうか。
静菜はふと足を止め、眼前の人物の背中に目を留めた。

それは昨日の少年だった。
後ろ姿でもわかる。

同じ学校の制服。茶色がかった髪。
それだけで昨日の少年だと判別するには充分。
この時刻に栄翠の生徒が出歩いているなど、まかり間違ってもありえない。
例外を除いては。
ましてや茶髪の生徒は他にいないだろう。

学校には行ってないのだろうか。
静菜はそんな事を考えた。

静菜自身、学校から堂々と抜け出して来たというのに。


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