封印せし記憶
少女
「あの、朝日奈さん」
おずおずといった感じで、教室の窓際一番後方に腰掛けていた少女に声をかける少年。
何をその目に映しているのかもわからないが、窓の外を眺めていた少女が声のした方へゆるりと振り返った。
「あ~プリントを…」
少女が無言のまま向けてくるふわふわとした笑顔に、少年は少し顔を赤らめた。
「国語のプリント。今日提出するようにって、さっきの授業で言ってたの聞いてた?そのプリントを集めてるんだけど、朝日奈さんまだだよね」
顔を赤らめた少年が慌てたように言葉を紡ぐ。