封印せし記憶
兄が進学校に入ったことで和弥への期待も大きく膨らんだ。
母親は中学受験も考えていたようだが、徒労に終わった事で、高校は進学高に行くことを余儀なくされた。
それが栄翠学園だ。
そんな期待に応えた和弥だったが、特に行きたかった高校ではない。
家にも帰って来ない母親の期待に応えた事が入学と同時にばかばかしくなった和弥は、ぎりぎりの出席日数で1学期を乗り越した。
成績もすこぶる悪い。
茶髪にピアス。乱れた制服。
そんな栄翠の生徒に目をつける他校生に絡まれることもしばしば。
が、柔道、合気道を習わされていた和弥はそう間単に負けることはなかった。
そんな和弥だが、生来真面目なところがある。
現に学校に通っていないわけではない。
進級できるかどうかは別にして…
喧嘩をするのも和弥自身が売ったことはなく、ただ自分の身を守っただけ。
過剰防衛とも言えるかもしれないが…