封印せし記憶
それは誰かと考える前にその人物が口を開いた。
「こんなところで何してるの?」
そのふわふわとした声音は和弥がもう関わりあいたくないと思っていた人物。
間違いようもなく静菜だった。
その声と共に顔をしかめた和弥は小さく舌打ちをしていた。
「さっき和弥が廊下を歩いてるのを見たの」
何も聞いていないのに勝手にここにいるわけを話す静菜。
そして許可もなしに和弥が寝転ぶ隣に腰を下ろした。
「…俺に関わるな」
ぼそりと呟くように静菜に告げた。
「私のクラスは次、体育なの」
空を見上げながら、軽い口調で言う静菜。
「……」
話を聞いてるのかと怒るだけ無駄。
既にそれを熟知していた和弥は静菜の言葉に無言で返した。
「私、体育は嫌い」
「…だから?」
だからなんなんだと心底思った和弥はつい口に出してしまっていた。
チラリと和弥を見た静菜は再び空に目をやった。
「だからサボるの」