封印せし記憶
異様
ここ数日というもの、和弥は苛立っていた。
もちろんその理由は静菜。
和弥はあの日のことが頭から離れなかったのだ。
気付けば、1日の大半をそのことで頭を一杯にしている。
それがさらに苛立ちを募らせていた。
驚きなことに和弥はこの数日を学園内で過ごしていた。
その為、教室内の空気は悪化するばかりだ。
静菜が現れるかもしれないという思いが、和弥を学校へと足を運ばせたのだが、和弥自身はそれに気付いていないようだった。
和弥はモヤモヤとすっきりしない何かを、一掃しようとでもするように大きくかぶりを振った。
しかしそれで何かが変わるわけではなく、苛立ちに拍車をかけただけだった。
どうして俺があいつのことばっかり考えなきゃなんねぇんだ。
あいつが泣こうが俺には関係のない話だろ。
だいたいあの時、あいつを追いかけたりしたのが間違いだったんだ。
どうして…俺はなにがしたいんだ。
くそっ!苛々するっ!
椅子から立ち上がる瞬間に一際大きな音を立てて立ち上がった和弥に、教室内にいた生徒がビクリと肩を震わせた。
和弥はそれを気に留めることもなく勢いよく教室を飛び出した。