封印せし記憶
「おい。大丈夫か」
「……」
掴まれた腕を庇うようにぎゅっと握っている静菜。
「おい、そんなに強く掴まれたのか?」
そんなに掴まれた腕が痛かったのだろうかと思った和弥が声をかけると、静菜はビクッと肩を震わせた。
「朝日奈…?」
「…和弥のお友達?」
ゆるりと振り返った静菜は、いつもどおりの微笑みを浮かべていた。
「バカか。今のがお友達なんてかわいいもんに見えたかよ」
「ねっ、公園に行こう?」
「…公園?」
ニッコリ笑って歩き出した静菜の後を和弥は少し遅れて歩き出した。
気丈を取り繕った静菜だったが振り返る直前まで、恐怖におののきそうなほどの感情が押し寄せてきていた。
和弥の声が安定剤となったのか否か、なんとかそれを抑え笑って振り返ることが出来たのだが…
和弥の一歩手前を歩く静菜の顔は今にも不安に押し潰されそうなほど、弱々しい表情だった。