封印せし記憶
今日もまた、ふと思い立ったように立ち上がり、鞄を手に取ると教室を後にする静菜。
その教室にはもう誰もいない。
それどころか教室には、夕日が差し込む時間となっていた。
静菜はいつもふわふわとした微笑みを浮かべている。
その微笑みに誰もが一瞬は目を奪われてしまうだろう。
そう、今まさに静菜とすれ違った、部活帰りの少年のように。
なにしろ静菜は小柄で大きなその瞳はくりくりとしていて、とてもかわいらしいのだから。
いつも通りの1人の下校。
しかし毎日のように下校する道が違う静菜。
遠回りをしたり近道をしたり寄り道をしたり、誰もいない公園でブランコに揺られたりと、帰り方はいろいろ。
今日は、少しだけ遠回りをしているようだった。