封印せし記憶
友人
「あっ、おい。和弥」
「…なんだよ」
修史の側を通りすぎようとした和弥は修史によって呼び止められ、若干、仏頂面になりながら振り替える。
「なんだよって、あのなぁ。久しぶりに会った親友にその態度はないだろ」
「別に親友になった覚えはねぇけどな。それより今度来る時は余計なもん連れて来んな」
修史が悪いわけではないだろうとわかってはいても、どうしても修史を攻めるような口調になってしまう和弥。
「…それは悪かったと思うけど、俺に三条は止められないよ」
苦笑気味に修史が言う。
「……」
確かにその通りだろうと和弥は思った。
というのも、行動力だけで生きているようなのが涼子なのだ。
下手をすれば1人でここに現れていてもおかしくはないだろう。
それでも修史と共に現れたのは、おそらく修史が勝手について来たというところか。
どういう経緯でそうなったのかは、わからないが…と和弥は考えた。
「なぁ、それでその子なんだろ?おまえの噂の彼女。和弥に彼女ねぇ」
と、含むようにくすりと笑う修史。
それに対して抗議しようと和弥が口を開きかけると、修史がそれをさせまいとでもするように言葉を紡いだ。
「あ、それより。おまえ高校で何してんだよ」
「…なに、って?」
修史の軽い口調に、訝しむようにすっと目を細める和弥。