封印せし記憶


「ちょっと和弥ってば。聞いてるの?」

拗ねたように口を尖らせ、和弥の腕を絡め取ろうとする涼子。
和弥はその腕をさっとかわした。

涼子は不服そうに顔をしかめると、すっと静菜へ視線を移した。

「ねぇ、ちょっと。あんたどうして和弥と一緒にいるの!?邪魔なんだけど」

静菜の肩を強く掴んだかと思うと、涼子自身へと振り返らせた。

「…あなたも一緒に帰る?」

静菜は目障りだと言わんばかりに、静菜を見下ろす涼子へ微笑みかけた。

「はぁ!?そんなこと言ってないんだけど。あんたどっか行ってくれない?」

侮蔑するような眼差しを静菜に向ける涼子。

「今日は風が強いね。私、風が強い日はあんまり好きじゃないの」

静菜は気付いているのか、いないのか、特にこれといった反応を示さず、ただ微笑んでそう告げる。

「はぁっ!?そんなことどうでもいいんだけど。って言うかあんたなんなのっ!?その薄気味悪い笑み浮かべるのやめてくれない!?」

その意味のわからない言動に、涼子は苛立ちを覚え、声を荒げた。


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