封印せし記憶


「黙れっ!」
「っ!…和弥……どうしてっ!?どうしてこんな子庇うのよ!」

突然の和弥の怒号に、涼子は肩を震わせるも、やはり強気な態度は崩さない。

和弥はそんな涼子を一瞥して歩き出した。
静菜もその後を追う。

「和弥っ!私、許さないからっ!絶対に許さないんだからっ!」

和弥の背中に向かって、涼子は地団駄を踏む勢いで喚いた。


いい加減にしてくれ。あの女に許すだの許さないだの決められる覚えなんかない。

和弥は苛々と心の中で毒吐きながら足早に歩く。
あまりにも速く歩く和弥に静菜は小走りで追いかけた。


そんな和弥と静菜の後姿を見つめながら涼子は歯がみした。

「和弥の隣は私の場所なんだから。あんな奴に絶対渡さない…」

そう呟く涼子はまるで鬼の形相であった。


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