封印せし記憶
少年


人気のない裏道をゆるゆると歩く静菜はいったい何を考えて歩いているのか…
まったく前を見てないのではないかと疑問を抱かずにはいられない。


静菜は足元の何かに躓き盛大に前のめりに転倒したのだ。

それを見ていた誰かが、ちっと大きな舌打ちしたのが、聞こえていたのかいないのか。

「…こんなところに、ゴミ?ゴミはゴミ箱にって、教えてもらってないのかな」

そう呟いて立ち上がろうとした静菜の片腕が、強い力で掴まれたかと思うと無理矢理立ち上がらせられていた。

「おいっ、おまえ。前見て歩いてんのかよ。普通、こんなもん見逃さねぇだろうが」

めんどくせぇとでも言いたげに吐き捨てる少年は静菜と同年代のようだ。
そしてその少年こそが先程、大きく舌打ちした誰かでもあった。

「だいたいこんなでかいゴミ、ゴミ箱に入るわけねぇだろうが」

もう一度舌打ちしそうなほど苛々した少年が静菜を睨みつけた。


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