封印せし記憶
恐怖
静菜の不安定な精神が落ち着き始めたのは、4日後。
その間も見た目にはいつも通り、静菜の些細な変化に気付く者はいなかった。
和弥も少しの違和感を覚えさえすれ、はっきりとした静菜の変化に気付くことはなかった。
放課後、ふんわりとした微笑みを浮かべて「今日はこっち」と和弥を誘導する静菜。
静菜が気紛れで選んだ道は、和弥と初めて遭遇した裏道。
人通りが少ないその道を2人はゆっくりと歩いていた。
「あっれぇ~?静菜ちゃんじゃね?久しぶりぃ」
背後から回り込んで、静菜に声をかけてきたのは、いつぞやの金髪に鼻ピアスの不良少年。
「こんなとこで会えるなんて俺ら運命?」
静菜の横にいる和弥は眼中にないといった感じで少年は右側の口角を吊り上げて笑んでいる。
「つまんねぇこと言ってんな。消えろ」
和弥は一歩前に踏み出し少年を威嚇するように睨み付けた。
「あぁっ?っんだよ。てめぇもいたのかよ。俺は静菜ちゃんに話してんだから邪魔すんな」
和弥の存在に今やっと気付いたかのように振舞い、苛立たしげに言い放つ少年。