封印せし記憶


「おまえが邪魔なんだよ」
「…あっ、この前言ったこと覚えてる?今日これからなんてどう?まぁ、俺としてはお話だけじゃないほうが嬉しいんだけど」

和弥の言葉を聞き流した少年は、静菜に向かってニタリと下卑た笑いを浮かべる。
そして静菜の腕を取ろうと手を伸ばしていた。
が、パシッと渇いた音をさせて、和弥によってその手を弾かれた。

「ってぇ…マジうぜぇ。てめぇさっきからなんなわけ?」

少年の顔が胸クソ悪ぃ、そう言っていた。

「おまえと話すことなんてない」
「はぁっ?誰がてめぇだっつった。俺は静菜ちゃんに言ってんだよっ」

和弥の素っ気無い口調に、少年が声を荒げた。

「こいつも話すことなんてないんだよ」
「…てめぇにわかんのかよっ。なぁっ?静菜ちゃん」

少年は付き合ってられるかと言うように、あからさまに和弥から静菜へと顔を逸らした。
そしてすかさず静菜に再度伸ばされた手。
今度は確実に静菜の手首を捉えていた。

「いいだろ?なっ、行こうぜ」

捉えた手首に力を加えて引き寄せようとする少年。

「ゃっ……」

静菜は小さく小さく声を漏らした。


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