ベイビーベイビーベイビー
彰人は随分前に一度、真理江に恋人はいるのか冴子に尋ねたことがあった。
それに対し、冴子から何やらはっきりしない返事をされていた。
あまり根ほり葉ほりと聞くのも無粋に思われ それ以上は聞かなかったのであるが、その時彰人は、真理江に恋人がいたとしても その関係は安定のしないものであると考えた。
「まずいなぁ」
彰人は同僚にさえ、自分が真理江に多大な関心を抱いていることを告げてはいなかった。
そんな事を同僚に言えば、きっと「お前には高嶺の花であるよ」と、大笑いして一蹴されることが容易に予想できた為、言いたくても言えなかったのだが。
このように同僚の援護も頼めない彰人は、仕事をしながらあれこれと一人で思案していた。
.