ベイビーベイビーベイビー
 
 この真理江の申し出に、

「そう? じゃあそうするね。お店で待ってるから、あんまり無理しないで適当に切り上げてよ?」

冴子はそう答えると、後輩の女の子たち三人を引き連れて、髪を揺らしながら軽やかな足取りでエレベーターホールに消えていった。

 
 先方に送るメールは、それから間もなく送信された。

 真理江はPCの電源を落とす作業をしながら、これから始まる“新人歓迎会”の事ではなく、ぼんやりと祥吾の事を考えていた。


 先週の事、これから残業が続く為にマンションにはしばらく寄れないだろうと、真理江は祥吾から告げられていた。

 そして、それ以降 祥吾からの連絡は、極端なまでに少なくなった。

 今まで祥吾とはお互いの仕事の話などしなかった真理江には、祥吾が今どんな仕事を任され、どんな状況に置かれているかなど、全く分からない中での事であった。



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