ベイビーベイビーベイビー
デスクの上に置かれた書類を引きずりながら、オフィスチェアーから床へと崩れ落ちたものがあった。
それは祥吾であった。
「古澤さん!!」
祥吾の後輩たちが慌てて駆け寄り肩を起こすけれど、祥吾からは意識を感じられない。
互いに目を見合わせた後輩たちは、その一瞬の静寂に、なにか青黒いものを感じた。
「おいっ!! 心臓マッサージ…いや、AED!!」
「古澤さん、しっかりして下さい!!」
「おい、救急車呼ぶぞっ!!」
「古澤さん!! 聞こえますか!!」
「古澤さん!!!」
「古澤さん!!!」
「古澤さん!!!」
意識が途切れる間際、祥吾は 遥か遠く、自分の名を呼ぶ、どこか懐かしい声を聞いた気がした。
〜『ベイビーたちの悲劇』 祥吾 〜