ベイビーベイビーベイビー
 

 デスクの上に置かれた書類を引きずりながら、オフィスチェアーから床へと崩れ落ちたものがあった。


 それは祥吾であった。


「古澤さん!!」


 祥吾の後輩たちが慌てて駆け寄り肩を起こすけれど、祥吾からは意識を感じられない。


 互いに目を見合わせた後輩たちは、その一瞬の静寂に、なにか青黒いものを感じた。

「おいっ!! 心臓マッサージ…いや、AED!!」

「古澤さん、しっかりして下さい!!」


「おい、救急車呼ぶぞっ!!」

「古澤さん!! 聞こえますか!!」


「古澤さん!!!」


「古澤さん!!!」




「古澤さん!!!」






 意識が途切れる間際、祥吾は 遥か遠く、自分の名を呼ぶ、どこか懐かしい声を聞いた気がした。







〜『ベイビーたちの悲劇』 祥吾 〜

< 122 / 475 >

この作品をシェア

pagetop