ベイビーベイビーベイビー
 

 祥吾が運ばれた病院までは、高速を走らせても町田からは約1時間。
 緊張の中で運転を任された綾乃の父親は、気が焦るのを必死で抑えていた。

 長く長く感じられる道のり。


 そしてようやっと病院に着くと、赤く点灯している救急のランプに向かい、三人は震える足を走らせた。


『ご用の方はこちらのブザーを押して下さい』

 薄暗い受付のテーブルに立てられた案内板の指示に従い、そこに備えられたブザーを押すと、ふっと明かりが灯り、扉の奥から一人の病院職員が現れた。


 焦る三人とは対照的に その中年の女性は終身落ち着いた様子で、綾乃の父親から尋ねられた古澤祥吾については、数々の処置と検査を終え、つい先程から緊急手術が執り行われている旨を伝えた。


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