ベイビーベイビーベイビー
看護師たちはナースステーションの前を通り過ぎる三人に気付くと、さっき救急搬送された患者の親族と瞬時に認めたようで、「こんばんは」と小さく声を掛けた。
「どうも、お世話になります」
そう挨拶を返しながら、看護師たちの瞳から祥吾の容態を推し量ろうと努めてみるものの、それは全く無駄な事であった。
そして三人はようやく祥吾の両親の居る待合室に到着した。
しかし、いざ部屋の前に立つと、その扉を開けるのに些かの恐怖を感じてしまう。
静寂の中、病室の扉の前で呼吸を整え、綾乃の母親が小さくノックをし、音をたてないようにゆっくりと扉を開けた。
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