ベイビーベイビーベイビー
「やっぱり新しく買うべきかしら?」
同じ年齢の女性と比べても、麻美のワードローブは遥かに多いように見えるのであるが、にも関わらず、麻美は納得のいく一枚を選びあぐねていた。
普段から可愛らしいスタイルが好きな麻美のクローゼットの中を見れば、ここにも春がやって来たかのように色とりどりのワンピースやスカートが、窮屈そうに吊されていた。
それらの多くは、麻美が東京にいる時に百合子からプレゼントされたものであるというのだから、いかに百合子に溺愛されていたかを窺い知る事ができる
それを知ってか知らずか、麻美は相変わらず無邪気にそんな発言をしているのであった。