ベイビーベイビーベイビー
そんな真理江が 今まさにこのような不安を抱いているなどと、誰が想像出来るだろうか。
――この先30代、40代となっても、会社は今のように自分を必要とするだろうか?
不安とは、更なる不安を生む元でしかない。
祥吾の事ばかりではなく、会社に対しての漠然とした不安も、常に彼女の胸中にあった。
時刻は23時を迎えようとしていた。
「さて、片付けるかな」
努めて明るく呟くと、真理江はテーブルに残されたままの食器を ゆっくりと片付け始めた。
〜『ベイビーな人々』 真理江 〜