ベイビーベイビーベイビー
 


「新しく買うって……。
 こんなにあるのに、一体何を買うって言うのよ」


 麻美が顔を上げ声がする方を見れば、昼ご飯の時間になっても一向にダイニングに現れない麻美の様子を見にやってきた麻美の母親、妙子が、半ば呆れた顔をしてドアの側に立っていた。


「お母さんてば! もう、ノックくらいしてよねぇ。
 それに数があれば用が足りるってわけじゃないのよ? 流行りだってあるんだから」


 妙子にはさっぱり分からないが、麻美には麻美のこだわりがあるようであり、変に強い意思を感じる。



「じゃあ、折角だから この間百合子おばさんに貰ったあの白いワンピースにしたら?」

 余計なお節介と分かってはいながら、この状況を見兼ね、ついつい口を挟みたくなってしまった妙子の提案に対しても、

「嫌よぅ。百合子おばさん、この間、このワンピースを着て撮った写真をあちらに送ったって言っていたもの。写真と同じ服を着て行くなんて恥ずかしいわ」

と言って、あっさりと否定した。


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