ベイビーベイビーベイビー
 

 そのワンピースも、昨年の春に 百合子が麻美に買い与えたものであった。


 けれど、やはり

「これかぁ。うぅん……、可愛いけど…。
 ちょっと“頑張っている感じ”がして、それも何だかシャクなのよねぇ」

と麻美は気の進まない様子である。


「難しいのねぇ」

「そうよ、難しいんだから」


 元々言い出したら聞かない頑固な性格である麻美である、自分の手には負えないと早々に判断した妙子は、

「とにかく、もうお昼ご飯の時間よ。早くなさいね」

と本来の目的を告げると、案外あっさりと麻美の部屋を出て行ってしまった。



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