ベイビーベイビーベイビー
時刻は間もなく正午を示そうとしていたが、さほど空腹を感じていなかった麻美は、妙子からの忠告も無視し、その後もマイペースに服を選び続けた。
しかしその内にクローゼットに残された洋服は僅かとなり、とうとう麻美の眉間にも細かな皺が刻まれ始めた。
「うーん……」
クローゼットに適当なものがないとなると、既に放り出した中から選ぶか、あるいは新しく買う事になる。
麻美はもう一度ベッドに広げられた数枚のワンピースを眺めるしかなった。
その時、妙子が指差したペールピンクのワンピースと重なるように置かれた薄い水色のワンピースに、ふと麻美の目が留まった。
麻美は色の白い女性であったから、水色の洋服を着るとその肌の白さに透明感が増して見えた。
「やっぱり水色かしらねぇ」
先ほど一度袖を通したものであったが、麻美はそれをもう一度着てみた。
そして今度はその上に白のジャケットと白のカーディガンを代わる代わるに羽織っては、またそれを姿見に写しては慎重に見詰めた。