ベイビーベイビーベイビー
こんな風に第三者にも分かるくらいにモテる佐竹であるが、恋人と呼ぶ女性はいないようである。
そんな事もあって、
「佐竹さんみたいな方がどんな女性に惹かれるのか、僕にはさっぱり分かりません」
何でも完璧に熟してしまう佐竹と共に過ごす女性像というものが、中瀬には全く想像できなかった。
そんな中瀬の質問に対し、佐竹から出された唯一の条件は、
「好きになった人がタイプってやつかな?
妙に気が合うとか、一緒にいる感じが自然だとか、そんな事なんだろう。
しかし、とりあえず笑顔が可愛いことは第一条件かもな」
意外な程にベタなものあった。
「笑顔が可愛いですか――」
しかし、大事なことを言い忘れたとばかりに、
「美人じゃなくても、笑顔の可愛い子っているだろう?
あ、俺にじゃないぞ、みんなに向けての笑顔な」
と、佐竹は言葉を付け足した。
「なるほど」
中瀬もこの補足をもって、妙に納得をした。
確かにこの佐竹という先輩の持つ魅力は根からの実力に伴うもので、海外組である云々などという軽いものなどではなく、男の自分でさえ惹きつけてしまう程強いものである事を改めて感じていた。