ベイビーベイビーベイビー
 

 ここでは男女関係なく仕事を割り振られているために、このように忙しい日は誰の助けも望めない。

 数年前よりインターネットによる金融機関への手配が出来るようになった事から時間的制約が減ったとはいえ、経理特有の事細かな事務作業は彰人に余計な事を考える隙さえ与えなかった。


「小島、お疲れ〜!!」

 そんな彰人の元に大変にのんびりとした調子で現れたのは、金曜日に一緒であった同僚の内藤であった。

「悪いんだけどさぁ、これ追加で頼めない?」

 内藤の手を見れば、彰人がおおよその内容を予想できる数枚の書類を挟んだクリアファイルがあった。

「マジかよぉ…。お前のとこ、さっき終わったばっかなんだけど」


 振り返り久しぶりに背を伸ばした彰人は、全身から力が抜けるのを感じた。




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