ベイビーベイビーベイビー
「本当につまらない町ねぇ」
今から約2年前、東京の大学を卒業するのと同時に、麻美はこの町に嫌々ながらに戻った。
それはそれより更に4年前、東京の大学へ進学を希望した麻美が、自宅から通える大学への進学を望んでいた両親と交わした約束によるものだった。
というのも、麻美は抜を群いて成績が良かったわけでも、山を越えて行く程の夢があったわけでもない。
若い女性らしく、小洒落た大学生が集う「東京」という街に憧れを抱いていただけでの事であった。
そんな志望理由だ。
「別に東京の大学でなくてもいいんじゃないか」
という両親の考えも納得がいくものに思える。