ベイビーベイビーベイビー
そもそも麻美の両親というのは、田舎育ちゆえ保守的なところがあり、都会に対してかなり用心深かった。
そのような環境で育っただけあって麻美も十分に用心深い性格ではあったのだが、しかし進学のときだけはそうではなかった。
とはいうものの、二十歳にも満たない小さな自分が、東京で学びながら一人で暮らすという事が、親からの援助なくして過ごせるほど甘いものではくはないことくらいは、幼い麻美でも容易く想像ができた。
そんな事情もあって、なんだかんだと後付けの理由をもって今までない程懸命に両親を説得した結果、都内に住む母親の友人が営むアパートに入居する事と、卒業後は地元に戻る事を条件に、やっとの事で了承を得られたのであった。