ベイビーベイビーベイビー
 

 この同じ病室で同じ空気を吸う者たちには気付かれぬまま、あの時の絶望感、そして虚無感が再び綾乃を襲った。


 これからどうなるのか――。

 祥吾には目覚めて貰いたい。
 けれども、祥吾の目覚めが怖い――。


 自分こそ死んでしまいたい。

 消えてしまいたい。

 一人ぼっちになりたくない。



 強すぎる自己愛に自分自身が翻弄されているとも気付かず、綾乃は歪んだ悲壮感をもって祥吾を見守るのであった。







〜『ベイビーたちの現実』 綾乃〜

.
< 189 / 475 >

この作品をシェア

pagetop