ベイビーベイビーベイビー
この同じ病室で同じ空気を吸う者たちには気付かれぬまま、あの時の絶望感、そして虚無感が再び綾乃を襲った。
これからどうなるのか――。
祥吾には目覚めて貰いたい。
けれども、祥吾の目覚めが怖い――。
自分こそ死んでしまいたい。
消えてしまいたい。
一人ぼっちになりたくない。
強すぎる自己愛に自分自身が翻弄されているとも気付かず、綾乃は歪んだ悲壮感をもって祥吾を見守るのであった。
〜『ベイビーたちの現実』 綾乃〜
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