ベイビーベイビーベイビー
母親の友人は、経営するアパートのはす向かいにある一戸建てでのんびりと豊かな暮らしをしていた。
麻美が“百合子おばさん”とよぶこの女性は、友人の愛娘である麻美の事を、何かにつけて気に掛けてくれた。
元より面倒見のよい性分の百合子であったから、人懐こい麻美を本当の娘のように可愛いがったし、反対に麻美に会うことで、若い麻美から元気を貰うことができた。
それは百合子の夫も同じであった。
子どものいなかった夫婦は度々麻美を夕食に招き、また特に用がなくても、「顔を見に来たわ」と言って麻美の部屋を訪ねた。
このようして、麻美は東京での新しい暮らしをスタートさせたのであった。