ベイビーベイビーベイビー
程なくして、仲居と一人の男性の声が麻美たちの座敷に近づいてくるのが聞こえた。
お喋りを続けていた百合子と真佐子であったが、それに気付くと、いよいよ今日の一大イベントが始まるといった気合なのか、お互いが自然と話すのをやめた為、そこは思わぬ静けさに包まれた。
そして仲居によって静かに開けられた襖から、片手に大きな鞄を提げた真佐子の息子、彰人が、
「すみません、遅くなりました」
と言いながら、中の様子を探るような面持ちで顔を覗かせた。
.