ベイビーベイビーベイビー
いつもは内から自然と湧き出る、弾けるような笑顔で客人を迎える麻美であったが、今日はいつも通りにはいかなかった。
少し作った笑顔を浮かべ、目も合わさぬまま彰人に軽く会釈だけすると、
「あらやだ!あなた、何なのその荷物!」
余りにも普段通りの姿で現れた息子に、やや困惑した様子の真佐子と、
「え? いや、だってこの連休こっちで過ごすんだから手ぶらじゃ来られないよ。これでも必要なものだけなんだけどな」
荷物を減らす為にとわざわざ東京からスーツを着て来たらしい彰人との、妙に親子らしい問答を真佐子と彰人の横顔を代わる代わる見ながら聞いていた。
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