ベイビーベイビーベイビー
 

 百合子は麻美の実家に涙ながらに電話を入れ、とうとう日付が変わる時間を迎えてしまった時には、

「これはもう、警察に届けましょう」

と、最悪の事態に向けての覚悟を決めた。


 間一髪、やっと着信に気付いた麻美から電話が入るのだが、まさかこんな事になっていると思わずにいた麻美だ。
 百合子に泣かれるは、父親と母親からはひどく叱られるはで、本当に大変な思いをした。

 それ以来、麻美は外泊したり帰りが遅くなる際は、百合子にもきちんと連絡を入れるようになった。


 少々の窮屈さはあったものの、初めての一人暮らし。
 これ程気に掛けてくれる百合子の存在を、優しさを、裏切ってはならないような気がした。

 そんな安心感もあって、麻美はあっという間に東京での生活に馴染んでいったのだった。



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