ベイビーベイビーベイビー
自分を呼ぶ声を聞きキョロキョロと辺りを見渡した麻美は、そのRV車に気付くと、慣れた様子で駆け寄って来た。
そして、
「藤堂さんたら、可哀想に。またうちの親に遣われちゃったのね」
と笑いながら、これまた慣れた様子で助手席に乗り込んで来た。
藤堂は、
「ひどいなあ。それじゃあ まるで僕が遣いっ走りみたいじゃないか。違うからね、僕が自主的に申し出たんだからね」
と苦笑いを浮かべながら、ゆっくりと車を動かし始めた。
そして、
「どうだった?うまくいきそう?」
もう少し様子をみてから聞く方が男性としてスマートかもしれないが、それよりも興味が先にたち、藤堂はついついストレートに麻美に聞いてしまった。
「どうだった?
なんで藤堂さんがそれを――。
あ、お母さんね!もう、本当にお喋りなんだから!」
助手席の麻美が唇を尖らせているが、
「いいじゃないか、今更僕を仲間はずれにしないでくれよ。で、どんな奴だった?」
しかし藤堂は麻美のそんな様子は全く意に介さない様子なのであった。