ベイビーベイビーベイビー
 

 しかし麻美の返事は、

「どんな奴って、うーん。可もなく、不可もなくって感じ」

そんな曖昧なものであった。

 藤堂は見合いというものをした事がなかったし、そのはっきりしない答えは、どうも気持ちが悪かった。

「可もなく不可もなくって……。雰囲気とかさ、そういうのは?」

 食い下がる藤堂。

「雰囲気ねぇ。あ、でも藤堂さんと同じ歳くらいなのに、随分と落ち着いてる人だったわよ」

 今日の見合い相手について何一つ知らず、ただ麻美と同じ年くらいの若い男なのだろうと勝手に想像していた藤堂は、

「ちょっとちょっと。それじゃあ何だか僕が落ち着いていないみたいじゃないか。
 って、え?僕と同じ歳くらいなの?」

と見合い相手の年齢を聞いて、心底驚いた。



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