ベイビーベイビーベイビー
しかし“あれから”二人に特に何があったわけでもなく、聞かれても彰人は返答のしようになかった。
必要以上に世話を焼きたがる母親を、少々面倒に感じた彰人は、その話題を聞き流すようにして、再び読書へ戻ったフリをした。
しかしそんな事で引き下がるような母親ではなかった。
「麻美さん、明るくて本当に感じのいい子だったわね。お家もしっかりしていらっしゃるようだし、お母さん、麻美さんなら大歓迎なんだけどな」
見合いの時の様子を見る限り、麻美が彰人を嫌がっているような様子が見られなかった事から、真佐子はすっかり期待に胸を膨らませていたのだった。