ベイビーベイビーベイビー
 
 
 ガイドブックを開けば、そこには見覚えのあるグランドキャニオンの雄々しく眼下に広がる風景や、帆を下ろした無数のヨットが繋がれたサンディエゴの美しいハーバーの様子など、学生時代に胸を打たれた懐かしい景色があった。


 そこを訪れた時の自分は、ただ自分の為だけに生きていた。

 新しい事が大好きで、何もかもが楽しくて仕方がなかったあの頃が、みるみると胸の中に蘇ってきた。

「あの頃はよかったなぁ」

 今の自分とあまりにも違う過去を思い、真理江は自然と感傷的になるのだった。


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