ベイビーベイビーベイビー
「佐竹さんて、冴子が時々メールさせてもらってる方ね?
そう、アメリカにいるの」
あの飲み会以来、冴子が佐竹に積極的にメールを送っているのを知っていた真理江は、落ち込んでいる自分に気を遣って、冴子はその話をしなかったのだということがすぐに分かった。
(冴子……)
「今回はプライベートみたいですけどね。
何年もあちらにいらしたから、知り合いも多いみたいで」
中瀬は羨ましそうに笑った。
そして、ふと真理江の手に西海岸のガイドブックがあるのを見付けた。
「あ、小林さんもどこかへ行かれるんですか?」
真理江は思い出したように、手にしていたガイドブックを元あった場所に戻しながら、
「残念ながらそうじゃないの。
折角の連休なのに何処にも行けなくてね。
次回お休みがとれたら、絶対どこかに行くぞ!って」
と言って恥ずかしそうに笑った。