ベイビーベイビーベイビー
 
 
 そして

――これ以上話していたら、きっと惨めになる。

 そう予感した真理江は、

「じゃあ、またね!」

と明るく言うと、そそくさとその場を離れようとした。


 ――…と、

「あ! 僕、これから気分転換に横浜辺りまで行っちゃおうかと思ってるんですけど、よかったら小林さんも一緒に行きませんか?」

 真理江は中瀬から思わぬ誘いを受けた。


 あまりにさりげなく誘いの言葉を掛けてきた中瀬に、

「え? 今から?」

真理江は思わず驚きの声を上げた。


 しかし相変わらずニコニコと笑顔の絶えない中瀬は、

「僕、ここまで車で来てるんですよ。
 高速を使えば1時間くらいで行っちゃいますし――…」

といって無邪気に話し続けていたのであったが、急に何かを思い出したような表情になり、

「あわわ、小林さんをドライブに誘うなんて!僕、どうかしてますよね!
 わあ……、すみません!」

といって、頭を下げた。


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