ベイビーベイビーベイビー
 

 この中瀬の誘いというのが、彰人のように下心があっての事でないことは、真理江もちゃんと分かっていた。

 だから、

「実はこの間、上司から“いつまでも学生気分でいるな”って、注意されたばかりだったんですよ、僕。
 驚かせてしまって本当にすみませんでした」

中瀬があまりにもすまなさそうな顔をしているのを見て申し訳ない気持ちになったわけではないが、気付けば、
 
「また佐竹さんとか誘って、飲みに行けたらいいですね。
 あ、勿論安藤さんも!」

と言って笑顔で別れの挨拶をし始めた中瀬を引き止めるように、

「中瀬くん!
 私も久しぶりに横浜に行きたくなっちゃった。
 よかったら連れて行ってくれない?」

と言って、反対に中瀬に願い出ていた。


 今度はそれを聞いた中瀬は少し驚いた顔を見せたが、

「はい!
 じゃあ僕、車とってきます!」

と言って、とびきりの笑顔で応えた。







~『ベイビーたちの……』真理江~

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