ベイビーベイビーベイビー
「打算か……」
例えば 自分と小島彰人とで思惑や打算が合致し、それを了承した上でここで暮らしたとして。
そうして夫となった小島と見上げるこの広い空が、果たして此所と同じように、曇りなく澄んだものとして自分の目に写り、それに幸せを感じることが出来るのだろうか?
いつも誰かに愛され甘やかされてきた自分が、これからの長い人生をそんなしようもない打算をもって割り切り、生きていく事など、どう考えても無理だと覚った。
気付けば麻美は、百合子の焼いたスコーンを美味しく味わいながらも、無意識に首を横に振っていた。