ベイビーベイビーベイビー
実のところ、中瀬の車に乗り込んだはいいが横浜までの車中 間が持つか、真理江は不安もあった。
しかしそんな真理江の心配を余所に、中瀬はまだ入社したての社員らしく、海外事業部で仕事をする中で初めて経験した話などを、“不安”と言いながらも、生き生きと真理江に話した。
それは決して“女性に慣れている”というのとは違っていて、どちらかというと、飄々とマイペースな風であった。
真理江のいる広報部でも、新しい取り組みや新商品などがあれば、海外メディア向けに情報を発信する事もある事から、中瀬の話す内容について、真理江は全く無知ではなかった。
しかし真理江がすっかり慣れてしまった“何でもないような事”が、中瀬の口から無邪気に語られると、何やらもの凄く新鮮に感じられるもので、真理江は思いのほか楽しい時間を過ごす事が出来た。