ベイビーベイビーベイビー
 

 美しく整備された湾岸公園。

 恋人たちが肩を並べて語らうこの公園を歩く自分達は、傍目から見れば歳の離れた姉弟のように見えるのだろうかと、真理江は少し照れ臭く思いながらも、中瀬と一定の距離を保ちながら、その海沿いを歩いた。


 そして時折、真理江の足を心配しては、 

「ヒール、大丈夫ですか?」

と聞く中瀬に、

「大丈夫よ、ありがとう」
 
と返事をしながら、真理江は益々中瀬のことが可愛く思えていた。



 そうしている内に、二人は中瀬の目当ての場所だったらしい大桟橋の中腹まで辿りついた。
 
 体力に自信のある真理江であったが、こんな距離を歩いたのは久し振りであった。

 それはもう、ただただ清々しい気分であった。
 
 
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