ベイビーベイビーベイビー


 そうやっていい気分のまま眠った藤堂がこの日 目を覚まして時計を見ると、既に正午近い時間になっていた。

 元から酒が強い藤堂であるが、こうして気の置けない仲間と飲む酒はまた格段と楽しいもので、少々身体はだるいものの、心持ちはとてもスッキリしていた。


 しかしながら、藤堂は今夜もまた他の別のメンバーを誘って飲みに出かける約束をしていた。

 久しぶりに母親の作った親子丼を掻き込むようにして食べると、少し残る酔いを覚まそうと、暖かな春の日差し下、以前から頼まれていた庭の垣の修繕をしたり、このところ酷使していた車の洗車をしたりと、夕方までの時間をのんびりと過ごした。

 とはいえ伊豆の1人暮らしのアパートで過ごす“のんびり”と、未だ子ども扱いしてくれる両親のいる実家で“のんびり”するのとはやはり安心感が違うのか、藤堂はいつの間にかリビングに敷かれた座布団を並べ、珍しく昼寝などもしてしまうのだった。


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