ベイビーベイビーベイビー
 

 思いがけず深く眠った藤堂が再び目を覚ますと、既に時計は5時を指していた。

 この眠りを以てすっかり昨日の酒も抜けた藤堂は、ゆっくり起き上がると、出掛ける準備を始めた。


――と、今夜も会う事になってる時田が、藤堂が【Industry】でよく話をしている“皆川”という男性にも声を掛けてあると話していたことを思い出した。

 もし今夜皆川が来るとすれば、藤堂は初めて皆川の顔を見ることになる。
 それは少し楽しみでもあった。

 しかし皆川の妻はたった今出産間近の筈で、独身で子どももいない藤堂ではあるが、さすがにその妻を置いて皆川がひょこひょこ現れたりすることなどないと予想できた。

 何か書き込みがあるかもしれないと思った藤堂は、自宅にあった古いPCを立ち上げ、久しぶりに【Industry】のルーム11を覗いた。



< 291 / 475 >

この作品をシェア

pagetop