ベイビーベイビーベイビー

Waver2 真理江

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 祥吾のマンションに背中を向け、強い足取りで歩き始めた真理江の姿は、その夜、都内の高層ビルの最上階にあるダイニングバーで見つけることができた。

 すっかり日も暮れた東京は、その地を照らす為に生産された光を煌々と拡散させている。

 その煌びやかな街の様子を眼下にゆったりと眺めながらおいしい酒を嗜むのがこの店での本来の楽しみなのであろうが、真理江といえば、窓際の席に着きながらも外の景色には一瞥もくれず、テーブルの向かい側に座る気の知れた女性を相手に何度となくため息を漏らしていた。


 真理江が今夜待ち合わせをしていた相手。
 それは誰でもない、このところ何かと世話をかけていた冴子であった。

 数日前、会社を休むと同時に冴子との食事の約束までドタキャンしていた真理江は、何としてでも早い内に冴子に会って謝りたかった。

 勿論、祥吾のことで誰よりも親身になり心配してくれたことに対しても、きちんと礼が言う必要があった。

 そんなわけで今日が連休最終日と知りつつも、昨夜になって冴子に連絡を入れ、食事の約束を取り付けていたのだった。


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