ベイビーベイビーベイビー
 

「冴子、前に言ってくれたじゃない。
 そろそろ祥吾と別れた方がいいんじゃないのかって」

「あぁ、それね!」

 それを聞いた冴子の顔は、ふと緩んだ。

 連休前のいつだったか、久しぶりに会社を抜け出し、真理江とイタリアンレストランでランチを食べた際、あまりに健気な真理江にそのようなお節介を焼いた事を、冴子はちゃんと覚えていた。

「夢中になっていて自分じゃ分からなかったけど、他所からみても、やっぱり私と祥吾の関係って、随分と脆いものだったのね」

 そして真理江の怒りの原因は、やはり祥吾の事であるようだった。


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