ベイビーベイビーベイビー
 

 ――と、そこに、


「あれ? 安藤さん?
 ――…と……えっ? 小林さん!?」

 冴子の背後から、何やら聞き覚えのある声がした。

 その声に驚き、振り向むくと、

「佐竹さん!」

この連休をアメリカで過ごしているはずの佐竹が、こちらも驚いた顔をして二人のすぐ後ろに立っていた。

 思わず茫然と佐竹を見つめる冴子であったが、

「二人とも、一体どうしたの!?」
 
という佐竹の言葉に、冴子はハッと我に返った。

 そして近くのウィンドーのガラスに映る自分を見てみれば、今にも崩れ落ちそうに冴子にもたれ掛かる真理江の重みで、羽織っているニットは片方がずり下がり、髪も乱れ、どうやらすっかりメイクも落ちているようであった。



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