ベイビーベイビーベイビー
 

「えっ!?
 小林さん、眠っているの?」

 真理江がただ飲み過ぎただけだと分かった佐竹は、今度は立ったまま眠りかけている真理江の様子に、今度は違う意味で驚いた。


 冴子はもう、苦笑いを浮かべるしかなくて、

「えぇ。
 …というか、お酒を飲むと眠くなっちゃうみたいで……
 ちょっと飲み過ぎて……」

と歯切れ悪く話し始めると、

「……あ!」

その全部を言い終わらないうちに、佐竹は真理江の身体を冴子の腕から取り上げ、軽々と両手で抱え上げた。


 冴子にもたれ掛かり覚醒を繰り返していた真理江には、その抱き上げた主が佐竹であると認識されることはない。

 冴子の気持ちなど知らぬ真理江は、警戒心なく心地よさに抱かれ、冴子が見守る中、とうとう夢の中へと沈んでいったのだった。



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