ベイビーベイビーベイビー
   

 その様子を見た佐竹は、何事かと一瞬驚いた表情をしたものの、冴子の慌てている理由をすぐに理解した様子で、

「大丈夫だよ!レディの部屋に入ったりなんてしないから。
 部屋の前で退散するから、安心してよ!」

と言うと、少しムッとした顔をした。


 冷静に考えれば、佐竹がそのように無粋で無配慮な男性でないことは、冴子にも分かるところである。

 もしかしたら、ここまで付き合ってくれた佐竹に、自分は随分と失礼な発言をしてしまったのではないかと、冴子はたった今の自分の発言を猛烈に後悔した。

 そしてエレベーターが到着し、三人で乗り込むと冴子はこれ以上密着できないというくらいにまでエレベーターの箱に身を寄せた。


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