ベイビーベイビーベイビー
  

「どうしたの。
 そんなにくっつくと、エレベーターと一体化しちゃうよ」

と言って余裕で笑う佐竹に、

「すみません……」

冴子は謝りながら、けれども佐竹が怒ってはいない様子に少し安心をする。


 それどころか、

「でもさ、ありがたいと思うよ、小林さん。
 君みたいな友だちがいてさ」

思いがけず、冴子は佐竹に誉められた。


 これに驚き、戸惑った冴子は、

「だといいんですけど。
 でも私、何だか真理江の一人ぐらい守れそうな気はします。
 男の人が守ってあげたくなるタイプの女の子って、やっぱり女でも守ってあげたくなるものなんだなって」

知らず知らずの内に、また可愛げのない事を口走っていた。

「え?君が守るの?」

 佐竹が笑って聞き返した。

「はい、何故だか分からないけれど、私なら大丈夫な気がします」

 冴子も自信満々な顔をして笑った。

「頼もしいなぁ」

 

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